自作 6350プッシュプル ステレオコントロールアンプ 
 
 自作WE91タイプモノラルアンプ用コントロールセンターとして製作した6350プッシュプルステレオコントロールアンプ
メインアンプへの接続にはベルデンのオーディオケーブルを使用。

 いままで、音量のコントロールにはサンバレーのSV−3ラインプリアンプをサンオーディオSV−300BEや自作WE91タイプアンプに使用しておりました。サイズも小さく中音域に影響を与えない方式のトーンコントロールなどを内蔵しておりなかなか便利なプリアンプです。
 ただ、出力系統が2系統しかないので色々と音源を楽しみたいと思えば、その内の1系統にどうしても後付ロータリースイッチを装着しなければならないし(音源からプリまで余分な接触端子が増える)、CDやレコードの真の情報を再生するためにはやはりトーンコントロールのないストレートな信号系統が好ましいと思われます。
 メインアンプはモノラル2台とかなり(私のレベルとしては)物量を投入しておりますので、これにふさわしいプリアンプをと検討を進めていきました。
そこで無線と実験2003年10月号に掲載されていた中澤 弘光氏の6350プッシュプルコントロールアンプの記事の回路に決め、回路図そのままに製作したのがこのプリアンプです。

 一般的な管球式プリアンプは12AU7や6DJ8などの低もしくは中μ管をシングルで使用するものが多いのですがこのプリアンプはコンピュータ用中μ双3極管を単管プッシュプルで使用し、さらにツエナーダイオードを使用して−C電源を定電流化した固定バイアス方式を採用するなど進歩的なものとなっております。それにもかかわらず回路図を見る限りはかなりシンプルで、これだったらば未熟な私でも完成することができるだろうと飛びついたわけです。
 プッシュプルはシングル形式に比べてメインアンプとして使用する場合と同様、チャンネルセパレーション特性がよくなるので、WE91タイプモノラル2台システムにはまさにうってつけといえましょう。 さらにプッシュプル動作は相互の真空管により打ち消し作用が働くのでヒーターやB電源由来のハムノイズもかなり少なくする事が出来ます。このことは小さい信号電流を取り扱うプリアンプでも非常に有効なのではないでしょうか。またこの回路は真空管の負荷に出力トランスを背負わせておりますので、無線と実験の本文中にもありますが回路のノイズ遮断効果も期待できます。実際アースの取り回しも通常のプリアンプよりも簡単で、部品の取り付け方法や配置も一般的なプリアンプより神経を使わなくて済みそうです。


 デザインはWE91タイプアンプに準じ、薄型のシャーシを青15号のラッカーで塗装しております。WE91タイプでは全体を青色としていましたが、このプリアンプでは金帯の下の部分をクリーム色に着色してメインアンプと区別しています。
インシュレーターは真鍮ブロック製にオーディオテクニカのハネナイトゴムを組み合わせたもの。



入出力端子はメインアンプの前もしくは並べて配置できるよう、出力トランス背面に配置 
スーパートロン製RCA端子を14個並べています。(出力1系統 入力6系統)
電源トランスやチョークはサンオーディオさん特注のタムラ製作所製です。
電源用IECインレットやヒューズも天板に配置しました。スイッチはメインアンプと同じく切忘れ防止の2個並列型としています。


シャーシ最終加工中 WE91タイプアンプに準じた構造  奥行きは22cmでメインアンプと統一しました。


内部配線 全てプリント基板を使用しない手配線。



 音量調節機構に東京光音電波製 抵抗切替型アッテネーター 2P65CS型、信号切替機構に同じく東京光音のロータリースイッチ2R6型を採用。
これらの部品の品質の高さはいまさら申すまでも無いと思います。(東京秋葉原のヒノオーディオさん取扱)
このアッテネーターは受注生産品で受取までに4週間ほどかかりました。
 写真のとうり、あとあとの調整のため若干間延びした配線でありますが、ノイズはそれほど気になりません。深夜の静かな部屋でホーンツイーターから20cm位まで耳を近づけない限り、全く問題は無いと思います。むしろ、5メートル先のノートパソコンのファンの音の方がずっとうるさいです。真空管のヒーターは交流点火ですが、プッシュプル動作+出力トランス採用の効果でしょう。音の微妙なニュアンスの再現もすぐれ、いままで聞こえていなかった音が明瞭にスピーカーからでてきます。演奏時の、録音の拙巧や古い録音のマスターテープに起因するノイズや歪みがはっきりしてしまうほどです。ボリュームの部品にいいものを採用した効果も大きいでしょう、さらに生演奏に近づいた感があります。
 真空管のマイクロホニックノイズはやはりメインアンプより大きいので動作中にシールドケースなどにふれると、マイクの上を指で触った時と同じようなこする音がスピーカーより出力されてしまいます。シルバニアとGE、さらにインターナショナルの6350を試しましたが、GEがマイクロホニックノイズが少ないので現在常用管としています。


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